竹孫
「蝶よ花よと育てられたとは決して言い難いのです、僕はいつも一人ぼっちでしたから」
幼子は涙を湛えながら縁側に座り込んだ。目の前には真っ白い雪景色が広がっている。
「彼らは僕の友達でありながら、やっと手に入れた家族でもあるのです」
だからこそ自分が受けなかった愛情を代わりに彼らに注ぐのです、蝶よ花よと。そういって孫兵は俯く。
「……けれどこの季節に、蝶は死んで、花は枯れてしまうから」
俺は何も言ってやる事が出来ない。ただ細い肩を抱き締めて、冷えたその肌に熱を分けてやる事しか出来ないのだ。
(君の彼らへの愛情が)
(俺の君への愛情と少し似過ぎているから)
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