Act.V『2月14日』3
薬に煽られた熱を解放する事等、二の次で良い。狐が快楽を求め乱れる様、それを視たい。視たくて堪らなかった。
「クク…まだまだお楽しみはこれからだろう…」
お前が乱れる様は見ていて気分がいい。そんな囁きをした狼に『性格悪い』と告げて赤木は体内の熱に身を震わせる。イキたくともそれが許されない。狐は荒い呼吸を繰り返しながら、ぎりぎりのもどかしさに眉を潜めた。
(そういえば…)
ふと、市川は先程赤木から渡されたチョコレートを思い返す。確か行為を始める前にベッドの上へ放った筈…。滑らかなシーツに手を這わせ彼は後ろ手にそれを探した。
数秒後、カサリという音と共にそれを見付け、手に取る。
(1…2、3……)
蓋を開け中に入っている個数を確認するとまだ4粒のチョコレートが残っていた。
探している間ほったらかしにしたからだろう。物に嫉妬したように狐は不満を漏らす。
「そんな物より…さ、…俺の相手、してよ…っ」
その浅ましさに市川の気分は高揚した。無意識に彼の尾が揺れる。
「クク…まあ、慌てるな…イキたいんだろう…?」
『だったら四つん這いになれ』、そう命じれば赤木は素直にそれを実行し市川に秘部を晒した。淫楽の靄が掛かった狐の意識に羞恥という言葉は存在しない。
「…なったからッ…早く…」
柔らかな双丘を撫で、入り口をなぞる。触れられる悦びにソレはきゅんと伸縮し市川を誘うように内部を蠢かせた。
「ああ、…入れてやるさ…直ぐにでもな…」
しかし、入り口にあてがわれた物に赤木は違和感を感じる。指でも陰茎でもない…ツルツルとした何か。
「ね、ぇ…何して…?」
「手前はさっき、チョコレートと一緒に俺も食わないかと言ったな」
それを実行しようとしているまでさ…。そう告げればびくりと彼の身体が跳ねた。
「…!や、やだ…ッ」
気付いた時にはもう遅い。にやりと妖笑を浮かべ、市川はチョコレートを中へと押し込む。
「いやっ…あぅ」
続けて二個三個と全てのチョコレートを入れられてしまえば、それらがぶつかり合いながら内壁を擦る感触に狐は喘ぎを上げた。
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