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酒興。2
 

足の上から下りる気がないであろう彼への軽い嫌がらせ…これくらいは許されて当然だろう。老人は、ふん、と鼻を鳴らす。

「だって………何だ?」
「…市川しゃんの事好きらから…、もっと傍にいたかったんらもん……」

一言で言うなれば不意打ちだった。市川はにやけかけてしまった口元を押さえ、目を細める。

「クク……そうかそうか、儂が好きか…」

そして思わず赤木の言葉を繰り返してしまった。心臓がはしゃいでいるのを感じる。

言葉一つで気分が一変する等…儂は何時からこんなに単純になったのか……。
自分に起きていた変化にあまり良い印象を受けず、市川は頭を掻いた。

「市川しゃん…」

赤木の声に口角が上がる。高鳴る鼓動が煩わしい。今だけで良いから心臓を止められないだろうか。
勿論それは無理な事だ。そんな事をしては確実に死の一文字が待っている。

「ちゅーして?」
「懲りねぇ奴だな…」

彼の要望に鼻を鳴らし、手を伸ばす。市川はその髪を撫で、頬を撫で少年の姿形を己の腕の中へと作りあげ、己の闇の中で視つめた。
親指で触れた柔らかな唇が濡れている。

……自制が効かなかった。

「……赤木…」
小さく名を呼びその唇へと口付けようとした刹那の事。
すー…と、か細い息が鼓膜を揺らした。途端にくてりとした身体とそれに状況を理解すれば彼から思わず溜息が漏れる。

「……はぁ…」

この野郎…。その気にさせたかと思ったら寝ちまいやがった。…なんて傍迷惑なクソガキなんだ……全く…。
寄り掛かる赤木の髪を梳いた市川はその寝息に耳を澄ませる。随分と気持ち良さそうに寝ているようだ。

「……生殺しだな、こりゃあ…」

ぼそりと呟いた一言は寝息だけが聞こえる静かな空間へと溶け、消えていった。



…─了


───
あとがき
やらかしました(^p^)
妄想のままに突っ走った結果がコレだよっ…!全く、自重しようよ自分…!!

私的に13歳はお酒に弱くても強くても美味しいです。弱いなら弱いで可愛いしっ(はあはあ)
あ、でも二巻で安岡さんにビール注いでもらってますね/(^O^)\でも直接的描写はなかったんできっと大丈夫っ…!
寧ろあの時初めて飲んだって事でぐでんぐでんに酔っちゃえばいい(涎(汚いな

2009.12.10

 

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あきゅろす。
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