本当は愛してる

『はあ!?高峰なんかだいっきらいだし、馬鹿じゃねえの!』



そういって切れた電話さえも愛しい俺は、多分じゃなくてもどうかしている。


何気ない会話の途中、俺のこと好き?なんて俺がさり気なく聞いたら電話の相手はさっきの言葉を早口で言って早々と電話を切った。


そんな彼に頬を緩めながら携帯を閉じてベッドに寝転がる。


他人から見たら、気持ち悪いがぴったりと当てはまるような俺の行動は、今日1日だけの特別なものではない。

毎日、こんな感じで俺は電話代を重ねていく。


ああ、そろそろかな。

ピンポーンと鳴ったチャイムに、俺は玄関へと走った。



「あれ、晃じゃん。どうかした?」


「…ちょっと。」

「そう。上がったら?」



俺がそう言えば、目の前にあらわれた小さな彼はお邪魔しますと呟き家に上がった。


何も言わなくても階段を上り俺の部屋に向かうあたり、幾度このやりとりをしてきたのだろうと考え、笑みが零れた。



「…で、どうしたの?」


俺はベッド、晃は床に座る。


必然的に俺を見上げる彼に、鼓動は高まりとどまることを知らない。



「…さっきは御免。」



何のことかなんて分かり切っていても、俺はさっきって?と首を傾げる。


何よりも可愛い君を、みたいだけなんだ。



「…あのね、電話で嫌い何ていって御免ね?本当は大好きだし、というか…っ」



本当は愛してる。


その言葉を聞いた瞬間、俺の手が彼の腕を引き胸に収める。


顔を真っ赤にして、潤んだ目で見上げて。

つくづく、ずるい奴だなと思う。

だけどそんな晃が可愛くて、俺のこと好き?と毎日聞いてしまう俺は、仕方ないと思うんだ。


俺もだよ、と耳元で囁けば、彼の頬は赤さを増した。



end.


*master*蒼
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あきゅろす。
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